個人・・・証券税制前処分売り終わり買い直し、マザーズ市場が連日の大商い

2013/12/06;
マザーズ市場が連日の大商いになっている。
売買代金は過去2番目を記録した5日に続き、6日も2500億円を超えた。短期志向の個人投資家の売買が膨らみ、ネット広告のアドウェイズの売買代金は661億円とトヨタ自動車を上回る規模だった。6日夜の米雇用統計発表を控え、主力株を手掛けにくいムードのなか、個人マネーが新興株に集まりやすい側面もあるが、理由はもう一つある。年末で廃止される証券優遇税制を見越した「節税・換金売り」によって個人の手元に膨らむ待機資金の一角が流れ込んでいるのだ。

6日は全市場の売買代金ランキングの3位にアドウェイズ、ミクシィが5位、コロプラが12位と、マザーズ上場銘柄が目立った。3銘柄合計の売買代金は1400億円を超え、マザーズ全体の過半を占める水準。その大半は短期志向の個人投資家が資金回転を効かせて値幅取りを狙っているものとみられる。

証券優遇税制の廃止を見越した個人の売買

個人の換金売りは過去最大規模に達している。東京証券取引所が5日発表した11月の投資主体別売買動向によると、個人の売越額は2兆372億円と、4月に記録した過去最高(1兆6827億円)を上回った。来年1月の少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)の開始に伴い、譲渡益や配当にかかる税率が現行の10%から20%に引き上げられるのを前に「昨秋からの株高で利益が乗った一部の保有株を個人投資家が売っている」ほか、相場低迷期には売るに売れず「長い間塩漬けされていた大型株の売り」もちらほらみられる。

「節税・換金売り」で資金を回収した個人投資家のうち、短期志向の投資家が新たな投資先として資金を振り向けているのが新興市場だ。米雇用情勢は先行き不透明で、量的緩和の早期縮小観測もくすぶるなか、本格的な主力株投資には動きにくい。個人の一角が一部の余裕資金を「短期で値幅を取りやすい新興市場に振り向けている」

換金売りを経て個人の手元に戻った「現金」のほとんどは、証券口座のMRFなどに待機している。カブドットコム証券では、預かり資産のうち現金が占める比率は直近で約27%と9月末に比べて3ポイント上昇した。松井証券ではNISAの口座開設の週間申込件数が足元で約2700件と10月に比べて3倍近くに増えている。

11月の個人の売越額は第2週(1兆1526億円)をピークに、第3週(5002億円)、第4週(3068億円)と細ってき、12月初旬でピークを過ぎたもよう。売った同じ銘柄を買い戻す投資家も少なくない。